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心臓。その5(僧帽弁閉鎖不全症と症例) [ウィペットと心臓]

 僧帽弁閉鎖不全症の投薬を約3年前から行っているウィペットのトモダチ。
      彼の検査値、ブログに書いていいよーとのことでご紹介。
            (ほんとうに、ほんとうにありがとう!!)

   投薬開始前後、投薬を始めるきっかけになった日の数値を、
         少し説明を加えながら載せていきたいと思いマス。
                同じく投薬のタイミング等で悩む誰かのためになれればいいなぁ。

     僧帽弁閉鎖不全症の治療に用いる様々な薬。その中には、
 心臓の働きを助ける効果を期待して用いられるものがあります。
 
     心臓はその薬に頼って動くことになるわけで、
 それはつまり、一度使い始めるとやめられないということ。

  だからこそ「投薬をいつ始めるか」飼主はとてもとても悩む。

    エコー画像の判断は担当医にお任せするしかないけれど、
         数値を比較してみることは私たちでもなんとか可能デス。
 ウィペットに特徴的な値を考慮しつつ、イヌ全般の基準値と並べて考える。

             担当医の経験、知識、診断結果、
 イヌの年齢、性格、活動の程度、状態、家庭の事情その他諸々を考慮して悩む。
    トモダチとぽバドの数値がその悩みの解消に少しでも繋がればいいなぁ。

                         では、本題へ。

IMG_2652.jpg
  続きはこちらから〜 ↓

             さてさて、トモダチの・・仮名:blueくん。

       彼が僧帽弁閉鎖不全症と診断されたのは約9年前、
           若さ輝き体力も満ち溢れる、そんな年齢の頃デシタ。
     とはいえ、日常生活に支障なく投薬も不要、激しい運動もOK!

  それからは定期的な検査を続け、元気いっぱいにシニア期を迎えるblueくん。

    そして弁膜症の診断を最初に受けてから約6年後のある日のこと。
      飼主さんが心雑音のわずかな変化に気がついて予定を早めての検査。
        結果、少し進行していることがわかり投薬開始となりました。

     2018年の現在。blueくんの症状・検査値に大きな変化はなく、
        投薬を続けながら元気にまったりと楽しい日々を過ごしています♪

心臓.jpg
     僧帽弁閉鎖不全症が進行していくことで起こる心臓の変化の一部と、
         その変化に対応するエコー検査の項目を表にまとめるとこんな感じ。

心臓の変化 対応する検査項目
左心房が拡張する、心臓が肥大する LA/LO:左心房の拡張の程度
VHS  :心臓の大きさ
LVDd :最も拡張した時の左心室の内径
左心室流入速度が速くなる E波    :左心室への血流の速さ
E/A   :E波とA波のバランス
左心室の収縮率が低下する FS     :左心室の収縮率
     詳しくはこちらへ → 心臓。その4(僧帽弁閉鎖不全症)

 さてここで、ウィペット(もしくはサイトハウンド)オーナーの皆さまへ!

  ウィペットでは一般的な基準値と異なる傾向にある項目がいくつかあります。

       それは、VHS、LVDd、FSの3つ。

        心臓は基準値より大きく、収縮率は低いことが多い。

 それを踏まえた上でblueくんの4年前(投薬前)の数値をご紹介。

  基準値or参照値 ウィペット参照値* 4年前
LA/LO
左心房の拡張の程度
1〜1.5 1.32〜1.5 1.85
LVDd(mm)
左心室内径
39〜 33.8〜48.4 48.6
E波(m/s)*
左心室への血流速度
0.73  ー 1.16
E/A*
血流のバランス
0.5〜1.5 ー  1.78
FS(%)
左心室の収縮率
33〜46 27.7 24
*E波、E/Aの参照値はグリーン動物病院の田口大介先生の下記レポートより抜粋
        田口大介(2014)「心臓エコー図検査ーその10」Vol.40(No.1),15-16,岩獣会報
        田口大介(2014)「心臓エコー図検査ーその11」Vol.40(No.2),49-50,岩獣会報

 また、ウィペットの参照値については以下の論文より抜粋。
          Bavegems V,Duchateau L,Sys Su,De Rick A.
           Echocardiographic reference values in Whippets

               Vet Radiol Ultrasound.2007 May~Jun;48(3):230-8.

      参照値と比較すれば、心臓と左心房はやや大きめかもしれません。
   ただしそれらの項目は、エコー検査ではイヌの体勢や測り方などで変化します。
           そしてさらにウィペットの参照値については、
      論文からの抜粋でまだ基準値とはいえず判断つかぬところ。
       E波については、田口先生のレポートでは中等度の評価になる。

            さて、どう判断すれば良いのか。

     blueくんにはこれまで定期的に検査してきた数値がある!
            そして経験豊かな先生がついている!!

      エコー画像やその他数値は以前とほぼ変わりなしで。
   結果、投薬はまだ見送ってこのまま現状維持となりました。



         そして3年前。飼主さんが心雑音の変化に気がついた日。
   検査の結果、E波は2.08m/sになり、E/Aは2.8とわかり投薬開始へ。

 それから、もちろん検査は継続。そして、直近の検査結果では。

  参照値 ウィペット参照値* 4年前 3年前 今年
LA/LO
左心房の拡張の程度
1〜1.5 1.32〜1.5 1.85 2.57
LVDd(mm)
左心室内径
39〜 33.8〜48.4 48.6 48.8
E波(m/s)*
左心室への血流速度
0.73 1.16 2.08 1.48
E/A*
血流のバランス
0.5〜1.5 1.78 2.8 1.8
FS(%)
左心室の収縮率
33〜46 27.7 24 38

      2.08m/sあったE波が遅くなっている!
 これら数値だけなく、その他の診断においても経過良好とのこと♪

  投薬以降、改善されたなぁと感じられる身体的な症状もあるそうです。
       ちなみにblueくんの担当医が言うには、
   老化による脱水のおかげで弁の閉じが改善される子も多いとか。

             ぽバドも、blueくんも病院は大の苦手。
    定期検診が負担になっているのではないか、とてもとても悩む。
 だけれど、blueくんの結果を見せてもらって必要だと改めて思いマシタ。

 ぽバドにとっても検査結果の積み重ねは、今後、必ず役に立つと感じています。
    できるなら、blueくんちのように些細な変化に気づきたい。

 最後にぽバドとblueくん、今年の数値を並べてみます。

  参照値 ウィペット参照値* blue ぽー バド
LA/LO
左心房の拡張の程度
1〜1.5 1.32〜1.5 2.57 1.5 1.42
LVDd(mm)
左心室内径
39〜 33.8〜48.4 48.8 43.6 50.9
E波(m/s)*
左心室への血流速度
0.73 1.48 0.95 0.68
E/A*
血流のバランス
0.5〜1.5 1.8 0.94 1.05
FS(%)
左心室の収縮率
33〜46 27.7 38 24.8 27.5

    ぽバドはエコー画像ではまだ左心房の拡張などは見られません。

 それでも、参照値と比較すると心臓は大きく、収縮率は低い。
        LVDdだけを見ればblueくんと変わらない。


 同じ僧帽弁閉鎖不全症で通院しているウィペットオーナーの皆さん。
    もしよければこの数値を受診の際にお使いくださいませ。
 基準値にあてはまらない場合があること先生に伝えてみてください。

 今後の方針のお手伝いになれるかも。いや、なれれば良いなぁと。

      ウィペットの特異性について、
より正確な情報を飼主と獣医で共有していくきっかけになればとも考えています。

           そこで、ですね。

IMG_2661.jpg
   表にある数値を測定したことのあるウィペットの皆さん。

      よければその数値を教えて頂けないでしょうか。

     当ブログのコメント欄、
 各SNSのダイレクトメールなんでもOKです。匿名もちろんOK。
                 Twitter
              Instagram    

 可能なら、心臓病の有無、犬の年齢、性別などもあれば助かります。

もしある程度集まれば、一覧にして当ブログで紹介したいと思います。
  ウィペットの参照値をみんなで作ってみませんかー?

コメント(12) 
共通テーマ:ペット

コメント 12

ゆか

心臓のエコーの数値はやレントゲンの数値、
分からないことが多くて。
教えてもらいたくてコメントしました。
数値は出てるんですが。
お返事もらえたら嬉しいです。
by ゆか (2019-05-27 00:14) 

micky

>ゆかさん

コメントありがとうございます。
私が理解していることはごく一部なのですが、
もしお役に立てることがあれば嬉しいです。
上の記事内のSNSにダイレクトメッセージを送っていただくことは可能ですか?
もし差支えないようでしたらここのコメント欄でもどうぞですー
by micky (2019-05-27 14:53) 

ゆか

ありがとうございます。
上のsnsわからなくて。ここでアドレス入れてもよいですか?
お返事もらえると嬉しいです。

by ゆか (2019-05-27 20:02) 

micky

>ゆかさん

返信が遅くなり申し訳ないです!
rinbelu◯gmail.com
◯を@に変えてメールくださいませー
by micky (2019-05-29 12:15) 

ゆか

ありがとうございます。
メールしました。よろしくお願いします。
by ゆか (2019-06-01 23:30) 

micky

>ゆかさん

メールが届いておらず、原因もわからず…
すみません。申し訳ないのですが、
もう一度送ってやってくださいー(>人<;)
by micky (2019-06-02 10:58) 

ゆか

すみません、見れてなかったです。
では、あたしのアドレス入れますね。
noko_4646@yahoo.co.jo
メールもらえたら助かります。
よろしくお願いします。
by ゆか (2019-06-11 23:53) 

micky

>ゆかさん

お手数をおかけしてすみません(>_<)
同じYahoo!のアドレスからメール送りました!
よろしくです〜♪
by micky (2019-06-12 12:16) 

とらくろ

初めまして。最近、拡張型心筋症(の疑い)と診断されました、ウィペットの飼い主です。
陰睾の手術をする為の術前検査で、見つかりました。
まだ、症状も出ていないごく初期なので、本当にDCMなのか、獣医循環器認定医にセカンドオピニオンとして診てもらいましたが、心臓の大きさも標準〜ごく僅かに大きめ、FSも普通という事で、まだ判断できないと言われました。
最初に診てもらった先生は、ANPとBNPの数値からDCMと判断したようですが、認定医の先生は、これは心臓にストレスがかかった時に出るホルモンなので、マラソンした時とかにも数値は上がるし、緊張していたりすると変わって来るので一概にには言えないと言われました。
確かに、うちの子は極度の怖がりで、車に乗るだけで足が震えてしまい、おまけに病院だと腰が抜けるほど怯えてしまいます。
しかし、そういった事で正常値をゆうに超えてしまうほど、判断に不安定な検査なのかもよくわからないですし、周りに聞く人がいないので、心臓に詳しい方を探していました。
病名は違いますが、何か情報を共有できることがあれば嬉しいです。
by とらくろ (2019-09-03 09:50) 

micky

>とらくろさん

コメントありがとうございます。
相対的にウィペットの心臓はやはり大きいようですよねぇ。

今のかかりつけ医院で初めてレントゲンを撮った際には、
ウィペットの患者自体が病院で初めてだったこともあって、
心臓の大きさにスタッフ皆で盛り上がったそうです(笑

幸い我が家の場合はぽーとバド2頭同時に診察を受け、
2頭とも同じように大きいことが確認できたことから、
「これがウィペットでは普通なのだ」と判断した、とも聞いています。

それから、バドも同じくBNPが高いです。
(ANPは計っていないので不明です)

そもそも心臓に着目することになったきっかけがバドのBNP数値でした。
健康診断の際に、何気なしに入れてみたら数値が高く、
ついでに2頭とも心臓エコーを行うことにしたんです。

2018年と2019年の2回しか測定していないのですが、
バドのBNPは955pmol/Lと1314pmol/Lです。
ぽーの数値は2回とも正常範囲内でした。

けれども、
エコーでの心臓の状態はバドの方がぽーより良いです。
ぽバドともに僧帽弁閉鎖不全症ですが、
拡張型心筋症の診断はついていません。

だから、とらくんの心臓が、
循環器認定医の先生の診立て通りであれば良いなぁと思っています。
とはいえ、やはり定期的に検査をして、
数値をモニタリングしていくのが良いと私も思います。
(ぽバドも病院が苦手なので、どれだけ通うかも悩みの種ですよね。。)

なにせ心臓の大きさも、
FSもあれこれと基準値から外れることの多いウィペットですし、
彼ら自身の数値がとても需要だと私は考えています。
ちなみに、バドも怖がりで、パニックになりやすい性格です。

情報の共有、こちらこそとてもありがたいです!
今後ともよろしくお願いします。DM送りますね〜
by micky (2019-09-04 19:48) 

とらくろ

インスタへのメッセージ、ありがとうございます。
他の方も何か参考になれば、と思いこちらにも書かさせて頂きます。
とらまるのBNPは1402pmol/L、ANPは130.5pg/ml(正常値8.6〜105.8)でした。
かかりつけ医は、この数値で断定はしていないものの、恐らくそうだろうと診断し、獣医循環器認定医は要は心臓にストレスがかかると出るホルモンなので、マラソンの様な事をすれば上がると言われて、これだけでは断定できないと言われました。
確かにその時、車でガタガタ震えながら30分、到着して病院でも1時間以上待たされたので、寅丸の心臓はかなりストレスがかかっていました。
私が安静時に採血して検査に出す、ということができれば一番いいんですけどね…
認定医からは、1歳くらいの時にレントゲン撮ったのがあれば診断がつくんですけどねーと言われました。ちなみに現在4歳半です。
藁にもすがる思いで良いことだけを信じたいけど、それで現実を見過ごすことは避けたいので、仰る通りモニタリングをしっかりしていかねばと思っています。
でも、もう投薬は始まっているんですよね。
二人の獣医の見解では、やはり心筋が伸びきらない様にするという意味で、予防的に薬を使っていくほうが良いとのことでした。
「もし、心筋症ならば僕の経験上、2年から5年の間に症状が出て悪化してくる、5年経っても何もなければ心筋症ではない」と認定医に言われました。
もし、何もなければバンザイ!ですが、じゃあそのあと薬はどうなるの?とか、もっと今の段階でわからないの?とかなんだかモヤモヤしてます。
ちなみに、心筋症の疑いが上がったきっかけは、血が濃いという事からでした。
その前にかかった獣医は、ウィペットあるあると言って問題にしなかったですし、もう何が正しいのか、誰か教えて!という感じです。
こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。

by とらくろ (2019-09-04 23:34) 

micky

>とらくろさん

とらまるくんの数値、ありがとうございます。
ぽバドやBlueくんの表に加えさせていただきます〜!
一緒に数値眺めて考えていきましょう!!

予防をかねた投薬というのは、ほんともやもやしますよねぇ><
だけれど「予防」という面で投薬を選択したことは、
正解かもしれないなぁなんて思いました。
僧帽弁閉鎖不全症(MR)の原因は様々で、
DCMから起こる場合もありますし、
ましてやウィペットはMRを発症する子が多い。
なのでとらまるくんは、
MRを発症するリスクも下げられるかもしれないなぁと。

もし投薬をしなかったらどうか、というのは比較できないことですし、
なーんて、素人の私がなんとも勝手なことを言ってすみません..

ぽバドのMRに気がついたのは2年ほど前なのですが、
初めの頃はいつから逆流していたのかしら、とか、
それこそ1歳の頃の心臓はどんなだったのだろうと、
そんなことばかり考えてました。

でも1歳の頃、ましてや健康なら心臓検査しないですもん。
もしいつかウィペットパピーを迎える時には撮っておこうかなぁ。

「ウィペットの血が濃い」確かに、あるあるですよね。。。
近いうちにぽバドの数値を表にして送ります。
by micky (2019-09-06 17:14) 

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